このカートカンを開発した凸版印刷株式会社は、96年より国産の間伐材を利用して生産を始めました。原材料には、国産間伐材が30%ほど使われています。昨年9月には、国産の間伐材を使ったものとして、全国森林組合連合会から「間伐材マーク」の認定を受けました。この認定を受けるまでに長い時間が経過しているのは、実は「間伐材マーク」のことをご存知なかったからなのです。
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96年当時は、間伐材が森林を健全に育成するために必要なものという認識が社会的にまだまだ低かったのです。しかし、今回認定を受けたことで、今後はカートカンに「間伐材マーク」を印刷し、間伐材の利用促進に協力することになりました。
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カートカンは、牛乳パック等と同様に紙を用いた容器です。しかし、牛乳パックなどに比べ、生産するためには、はるかに複雑な工程が必要となります。そのために安定した繊維の原料が必要になりました。 皆さんご存知のように、紙は木からできています。紙の原料となる木材は、外国産のほうが値段が安いのですが、品質が安定しないという欠点があります。そのため、さまざまな木材を用いて試行錯誤し、あくまでも良い製品作りのために原料を厳選した結果、国産間伐材に辿り着いたのです。さらにそれは間伐材の利用につながり、森林の育成にも一役買うことにもなったという、全ては幸福な偶然の出逢いだったのです。
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カートカンは、販売当初は1社が利用しているだけでしたが、次第に多くの飲料水メーカー、食品メーカーから注目を集め、現在は引き合いも多くなっているそうです。特に、食品メーカーでは製品の品質を保つ性能も高く評価されています。カートカンを用いた飲料は、おいしさを逃さない秘密があるのです。これはアセプテック充填という、無菌で食品を充填できる製法で、これによって中身の風味が損なわれにくくなるのです。
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ただし、コストの面からも、従来のアルミ缶やスチール缶のシェアを奪うものとは考えていないそうです。あくまでもニッチな製品としてシェアを拡大していきたいとのことでした。カートカンを用いた飲料は、缶やペットボトルを持ち込めない大型施設(両国国技館や名古屋ドーム)等で販売され、特定のニーズを満たす商品として喜ばれています。 さらに、そのまま温められたり、切り口でケガをすることがないといったメリットから、病院などからの引き合いも増えているそうです。また、カートカンはリサイクルされることで、ティッシュやトイレットペーパーになり、木質資源のリサイクルにも一役かっています。
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