森林活用事例
Topics
一覧 特集記事
誰(だれ)森林(もり)資料館
ご存知ですか?森林組合
森林スタイル手帳
メールマガジン
誰(だれ)森林(もり)の輪(わ)
Contact
特集記事3 特集記事1 特集記事2 特集記事3 特集記事4

凸版印刷株式会社の間伐材マーク入り紙製飲料容器「カートカン」
〜製品開発から始まった間伐材利用による森林育成貢献〜


カートカン カートカンをご存知でしょうか?カートカンは、紙でできた缶状の容器で、一見すると普通のジュース缶のように見えます。けれど、手にとってみると牛乳パックのような材質でできていることがわかります。このカートカン、紙でできていることによって様々な長所があります。例えば、カートカンに入った飲料は電子レンジで温めることができ、さらに中身の風味を損なわないのです。このようにカートカンは、容器として優れた特徴をもっています。

 このカートカンを開発した凸版印刷株式会社は、96年より国産の間伐材を利用して生産を始めました。原材料には、国産間伐材が30%ほど使われています。昨年9月には、国産の間伐材を使ったものとして、全国森林組合連合会から「間伐材マーク」の認定を受けました。この認定を受けるまでに長い時間が経過しているのは、実は「間伐材マーク」のことをご存知なかったからなのです。

間伐マーク 96年当時は、間伐材が森林を健全に育成するために必要なものという認識が社会的にまだまだ低かったのです。しかし、今回認定を受けたことで、今後はカートカンに「間伐材マーク」を印刷し、間伐材の利用促進に協力することになりました。

 カートカンは、牛乳パック等と同様に紙を用いた容器です。しかし、牛乳パックなどに比べ、生産するためには、はるかに複雑な工程が必要となります。そのために安定した繊維の原料が必要になりました。
皆さんご存知のように、紙は木からできています。紙の原料となる木材は、外国産のほうが値段が安いのですが、品質が安定しないという欠点があります。そのため、さまざまな木材を用いて試行錯誤し、あくまでも良い製品作りのために原料を厳選した結果、国産間伐材に辿り着いたのです。さらにそれは間伐材の利用につながり、森林の育成にも一役買うことにもなったという、全ては幸福な偶然の出逢いだったのです。

 カートカンは、販売当初は1社が利用しているだけでしたが、次第に多くの飲料水メーカー、食品メーカーから注目を集め、現在は引き合いも多くなっているそうです。特に、食品メーカーでは製品の品質を保つ性能も高く評価されています。カートカンを用いた飲料は、おいしさを逃さない秘密があるのです。これはアセプテック充填という、無菌で食品を充填できる製法で、これによって中身の風味が損なわれにくくなるのです。

 ただし、コストの面からも、従来のアルミ缶やスチール缶のシェアを奪うものとは考えていないそうです。あくまでもニッチな製品としてシェアを拡大していきたいとのことでした。カートカンを用いた飲料は、缶やペットボトルを持ち込めない大型施設(両国国技館や名古屋ドーム)等で販売され、特定のニーズを満たす商品として喜ばれています。
さらに、そのまま温められたり、切り口でケガをすることがないといったメリットから、病院などからの引き合いも増えているそうです。また、カートカンはリサイクルされることで、ティッシュやトイレットペーパーになり、木質資源のリサイクルにも一役かっています。


凸版印刷(株)横尾様・世木田様 同社では、カートカンが広く受け入れられるようになってきた理由の1つは、バブル以降の景気低迷期を経て、消費者が良いものなら多少高くとも選ぶようになってきていることが考えられると分析しています。また、社会的に環境に対する関心が一層高まる中、同社では99年から、カートカンの収益から一部を基金としてNGOを通じて東南アジアにおける環境教育や森林育成を支援しています。
 木質資源が原料である紙に携わる会社として、凸版印刷株式会社では、間伐材の利用や東南アジアの森林育成などの環境貢献は重要なものと位置づけられています。今後は、同社の海外植林活動と同時に、間伐材などの国産材消費の推進と、それを日本の森林育成に還元していけるような活動への取り組みにも期待していきたいと思います。


特集記事1 特集記事2 特集記事3 特集記事4
フッターイメージ Top of This Page
All rights are reserved (C) Copyright ZEN MORI 2001 National Federation of Forest Owners' Co-operative Associations(ZEN MORI).