間伐

協同組合東京の木で家を造る会の活動
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2.立木のまま購入する「旬伐りの家」

具体的に、東京の木で家を造る会に入会してから家が建つまでの流れを紹介していこう。まず、入会。ここから、「会」の家作りの勉強が始まる。ここはパスできない。東京の森林と家作りの関係を、講習会や森林や市場の見学などで学んでいく。もちろん、すでに会で建てた家の見学会なども行われる。建築家や工務店とのコミュニケーションもこの間に取られる。

そこから、ようやく家作りの計画を立てる作業に入る。どんな暮らし方をするのか、どんな家にしたいのかを考えながら間取りや家の構造を決めていく。ある程度決まったら、次に設計者を選ぶ。設計者のポリシーやプロフィールなどを考慮に入れながら、どの設計者なら、自分たちの希望の家にぴったりなのかを選ぶのである。事務局からのアドバイスを受けることもできるし、専門的な相談も有料になるが、たっぷり時間をとって行われる。

設計者が決まったら、いよいよ設計申し込み依頼。設計契約を結び、基本的要望、敷地の条件、予算、生活感などを打ち合わせを通じて、伝えていく。ここから、基本設計、実施設計へと続いていく。

続いて、工務店の選定、工事請負契約、着工、上棟などは通常の家作りとあまり変わらない。だが、使用する木材を新たに伐採する場合などもある。そういう場合は、実際に山に入って、客自らが専門家のアドバイスを受けながら、例えば大黒柱にする立木を選ぶこともあるという。時間も労力もかかるが、なんとも夢に満ちた労力といえる。


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実際に旬切りや、伐採に家を建てる人が森林をたずね、自宅に使われる木を選ぶこともある。

2002年からは、「旬伐りの家造り」という企画が始まった。旬切り、あるいは伐り旬というのは、冬の間、木が水分やでんぷん質をはきだしている時期に伐ることをいう。水分をはき出しているので、自然乾燥もしやすく、その際の割れや変形も少ない。また、でんぷん質も最小限になっているので、材になり家になったときに、昆虫などの害を受けにくいのである。こうして旬伐りした木をそのまま枝の付いたまま、山に置いて乾燥させることを葉枯らしという。冬の乾いて冷たい風は、こうした葉枯らしの風、まさに木枯らしなのだ。こうした葉枯らしを終えた木材を、一定の長さに玉切りし、製材、乾燥を経て使用するのである。

木の乾燥や製材などを行っている合間に、設計などの作業も行うので、木の伐採から建築完了まで1年ほど。これを長すぎると思う人は、最初から入会などしないだろう。通常の木の家は、1坪当たり平均0.7m3の木が使われているんですが、会で造る家は1m3の木が使われている。木の香りがたっぷりと香る、理想的な住まいが年間15棟ほどずつ誕生している。

理想の家造りである。理想的すぎる、という声も、もしかしたら上がるかも知れない。だが、こうした手続きを、山主、製材所、家を建てる人、設計者、工務店のすべてが踏むことによってしか得られないものがあるはずで、それこそが「東京の木で家を造る会」が手に入れようとしているものなのである。それは、あえて言葉にすれば、木への感謝であり、その木を生み出す森林への感謝の心、その木とともに生きていくことを再確認である。


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「これがうちの木になるの?」というお子さん(左)。山主、建築家、施主の家族で記念撮影(右)。

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