2.ゼロエミッションの集成材工場
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津山国産材に原木を供給している山林の間伐風景。 |
工場に持ち込まれた原木は、65cmに玉切りされ、背面加工された上で半分に割られる。ここから木の太さによって3か月〜5か月の天然乾燥に入る。天然乾燥の後は、3つある除湿乾燥機で含水率を10%以下にする。製造過程で出る木っ端は、ここで燃料とされている。乾燥の過程で反りが出た材木の厚みを修正するとともに、斜面をカット、これできれいな台形の材木ができあがる。
今度は、この台形の材木を交互に組み合わせていく。木裏と木表が交互に張り合わされていくことになるのである。斜面に糊付けし、台形材を接着していく。接着には、水性ビニールウレタン系の接着剤が使用されており、これはJASの最もきびしい認証を受けているという。
接着後、横巾割りという工程で長さ60cm、幅30cmの集成材を作っていく。これを今度は縦方向にフィンガージョイントの方法で継いでいく。ここで厚み修正をした後、さらに今度はフィンガージョイントされた集成材を積層していく。最後は、幅30cm、厚さ90cm、長さ500cmのブロックを作る。このブロックの状態で出荷することもあるが、ここから、500cm×90cmの集成材を取っていき、カンナがけなどの加工をして出荷することもある。
「乾燥だけで、3か月から5か月かけていますが、それはひとえに木の反りなどの変形を出しきってしまおうということでやっています。さらに、各工程の後には、かならずしばらく時間を置いて木を養生させています。だからここに持ち込まれた木は、出荷されるまでには最低でも6〜7か月かかるんです。でもそれだけ時間をかけるから信頼性のある積層材を出すことができるわけです。しかも、ここで生産しているのは造作材、つまり内装などの使う木なんです。構造材なら見かけにそれほど気を配る必要はないのですが、造作材である以上、見た目にも少しでもきれいな材を送り出したい」(三木)。
加工の過程で出てくる木っ端は人工乾燥機の燃料になるが、大鋸屑(おがくず)などは酪農農家に引き取ってもらっている。牛の敷物に、あるいは堆肥として活用されているという。おかげで、この工場からは木の加工で出てきたゴミは出ないことになる。まさにゼロエミッションなのである。
津山国産材で作られた集成材は、接着のための糊にも気をつかっているが、塗装にもドイツ製の自然塗料を使っている。ホルムアルデヒドなどの化学物質を出すこともない。岡山の複数の学校の教室や廊下、体育館などにも津山国産材製の材木が使用されているのもこの安全性の実証ともいえる。さらに、津山国産材の実績を聞きつけて、埼玉から木材が運ばれこの地で加工した製品で埼玉の学校が改築されるというようなことも起きている。地元の木を使いたいが、近隣に加工工場がない。ならば実績のある津山国産材に加工を委託しようというわけである。
図2 台形集成材のできるまで |
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