間伐

現場レポート 間伐材利用を促進するために
 台形集成材で実績を残す津山国産材加工協同組合
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3.木の家の良さは住んでみればわかる

「現在、戦後の拡大造林で植えられたヒノキが間伐の時期を迎えています。ここでは、末口(木の先端に近い方)が13cm程度から活用できるんです。ヒノキの30年生くらいから活用できるんですね。時期によって原木価格は異なりますが1m3あたり1万3000円くらいになります。通常の市場では、7500円程度、曲がりのある木などは最悪2000円くらいになってしまいますからね。高い方だと思いますよ」(三木)。

小径木の間伐材が1万3000円なら間伐が十分にビジネスになる。だが、ここで加工される間伐材のうち、地元の森林組合から供給される原木は60%程度という。つまり、地元産だけでは間伐材が足りないのだ。

「ヒノキの場合は、スギと違って間伐が遅れているということはないのですが、それでも間伐が理想的なタイミングで行われているというわけにはいきませんね。やはり、人手不足というのは深刻です。若い人が森の仕事に魅力を感じることができないんですね」と語りながら三木さんは表情を曇らせた。

順調そうに見える津山国産材だが、課題がないわけではない。ブロック材までの加工、さらにそこから注文に応じたサイズの材木を出荷する能力はあるものの、そこからさらに先の化粧版などの加工は宮崎の工場に委託している。広葉樹を貼り付けた床材などの加工はここではできないのである。さらに、16年前に設置された機械がそのまま使われている部分も多く、生産能力が限界に達していること。

「いろんなところで国産の集成材のPRをしていて、知名度は上がってきているんですが、やはり専門家が多いんですね。普通のお客さんに知られていない。国産材で家を建てたいという人が増えてきて欲しいですね」(三木)。

津山国産材のすぐ下には、「林業研修センター」がある。津山の集成材と成材をふんだんに使った純木造の施設だ。ここで、林業に関するさまざまな会議や研修が行われる。入ってみると、ヒノキの香りがしてすがすがしい空間になっている。

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林業研修センター。外部、内部にも木がふんだんに使われており、椅子やテーブルにも当地の木材が使われている。

「木の家の良さは、住んでみればわかる。やっぱり、日本人には日本の木の家があっているんですよ。国産材で建てると高くつくといいますが、実際はそんなに変わらない。今の住宅で大きな比率を占めているのは、システムキッチンやバスなどの内装材なんですね」と語るのは、岡山県森林組合連合会木材部長の竹内徹さん。確かに、この研修センターに入ってみれば、そのことが良くわかる。

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林家から寄付されたヒノキ無垢材の柱を前にした竹内徹さん。

木の家、というと無垢材を欲しがるから高いものにつく。間伐材を活用した集成材であれば、建ててからのアバレもほとんどなく、しかも強度、美しさは無垢材と変わらず、価格もリーズナブル。もちろん、シックハウス症候群の心配もない。集成材の良さを見直してみる時期に来ているのではないだろうか?

写真 工場で半割りにされた木材。斜面に皮を残しているのは、自然乾燥中の割れを防ぐため。
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半割りされた木材は厚さに応じて、まとめて自然乾燥されていく。 乾燥中に生じた変形。
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厚み修正で整形する。
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横巾セット。 接着された材を乾燥させる。年輪が上下交互に見えるのが台形集成材の証。
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フィンガージョイント用の加工。 出荷を待つばかりのブロック材。

 


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