間伐

現場レポート 間伐材利用を促進するために
 〜森林経営から住宅施工までを一体化した気仙地方森林組合の挑戦
2/3 

間伐材が足りない・・・

写真
気仙プレカット工場で加工されたプレカット材
写真
集成材を作る前段階の木材

気仙木加連の現在の構成員は、森林組合を始め、製材協同組合、素材生産協同組合、建具協同組合などで、気仙地方の林業関係者が大同団結した形である。気仙木加連の結成から6年後の平成5年(1993年)、今度は気仙プレカット事業協同組合が設立され、住田町にプレカット工場が建設された。

プレカットというのは、木造住宅を建てる際の継ぎ目や仕口といった末端の加工をあらかじめ工場で行うこと。つまり、プレカットされた木材は工務店、あるいは施主に直接送り届けることができるのだ。

さらに、平成10年には三陸木材高次加工協同組合が設立される。気仙川流域の森林組合の他、気仙木加連、気仙プレカットなどの各団体が構成員となっているが、こちらは間伐材を利用した杉集成材による柱や梁の生産を目的としたもの。同年気仙プレカットに隣接した敷地に集成材工場が建設されている。つまりは、間伐材をつなぎ、張り合わせることにより集成材を作り、それをプレカット材として施主に送り届けるのである。集成材というと、無垢材と比べると一段下と思われがちだが、強度に関しては無垢材よりも強くなる場合もあり、安価でしっかりした家を建てるには最適な材料なのである。

気仙プレカットの売り上げは、初年度の2億円から右肩上がりが続いており、平成14年には15億円に達する。なんと気仙地方の間伐材だけでは足りなくなるという繁盛ぶりである。持って行き場のないはずの間伐材がここでは足りないのである。

「集成材工場で生産された集成材の60%は自社工場で販売して、40%は気仙プレカットに売られます。そういうシステムができているんです。気仙プレカットには100%出資会社の別会社気仙ホームというのがあって、秋田、山形、仙台、福島あたりの住宅の受注を受けています。平成15年度には気仙プレカットの売り上げを20億円に挑戦しようといっているんです」と強気の紺野さんだが、そのための布石は万全だ。

写真
短い材木をこうした継ぎ目で縦方向に繋いでいく。こうすることで、最長9mの材木を得ることができる。縦継ぎ部分の強度は当然落ちるが、積層する際に縦継ぎ部分を分散化することで全体の強度は保たれるわけである。
写真
薄い材木を接着することで、柱材も作ることができる

平成14年の2月には協同組合さんりくランバートを設立、今年の3月には操業を開始する。「最新の機材をいれたラミナ(プレカット、集成材用の薄い板材)専門の工場です。1本の丸太を入れたら、後は機械任せでラミナが出てくる。人件費を極限まで切りつめた工場です。1シフトで15000m3/年の素材を扱うことができる。これを2シフトで稼働させる予定です。製材コストを抑えることで、原木の価格を安定させることができる。山に還元できるんですね」(紺野)。

こうして次々に設立される協同組合の構成員は互いの協同組合である。つまりは、森林組合をはじめとして、製材、プレカット、さらには施工会社すべてが複雑にからみあいながら一体化している。だから、常に全体の利益を考えた経営が行われている。

「気仙では、自分だけがよくなるという発想はない。みんながよくなればいいと思ってやっている。それが基本です。森林経営者に森を守っていこうと思えるだけの収入を約束しながら、コスト的に外材と対抗できる製材を出していく。こういうことができるようになってきている」(紺野)。

柱材として仕上がり出荷を待つ集成材

 <前へ 2/3 次へ> 

index