2.建具職人たちの挑戦
集成材には、先ほど紹介したラミナをつなぎ合わせる通常の集成材の他に、比較的新しい技術として、台形集成材がある。通常は、丸い木を四角く使うのに対し台形集成材では、丸い木を六角形で使うので、歩留まりがよくなり、さらに木表と木裏を交互に貼り合わせるので、木の変形にも強いなどのメリットがあるが、加工の手順が複雑になる。これに関しては、現場レポート「間伐材利用を促進するために〜台形集成材で実績を残す津山国産材加工協同組合」で詳しく触れている。
集成材を住宅の内外装、あるいは構造材として使用する動きは全国各地で行われている。そして、第1回の現場レポート気仙地方森林組合の活動を紹介したように、集成材工場、プレカット工場、施工会社までを一貫して事業化するなどの試みも行われている。だが、一般消費者からすると国産の集成材を使った家作りはまだまだ縁遠いといわざるを得ない。近所に国産の集成材を活用した家作りに熱心な施工業者がいれば、そこに依頼するということもできるが、数は少ないのが現状。メンテナンスが必要な住宅の建築にはあまりにも遠方にある施工業者は選びにくい。
将来的には、全国の集成材加工業者が大同団結し、一つの住宅ブランドを作るなどの努力が必要だろう。もちろん、地域で作られた集成材はその地域で消費されるような工夫も必要だろうし、解決しなくてはならない問題も多々あるだろうが、津波のように押し寄せる外材と、それを売りつける商社や大手住宅メーカーに対抗するには、ノウハウとマンパワーの統合以外に手段はないと思われる。
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協同組合ウッドワークに所属する小田原健さんのクリプトメリアシリーズのダイニングテーブル。 |
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台形集成材で有名な津山国産材加工協同組合で作られた会議用テーブル(上斎原森林組合)。 |
住宅以外の用途では、家具への応用が盛んに行われている。これも、森林組合などの組織が中心になって行われているものが多いが、中には森林組合と提携し、毎年一定量の間伐材を買い上げ、集成材を利用した家具作りに励む上越の建具屋協同組合ウッドワークのようなところもある。ウッドワークでは、さまざまな試行錯誤をくり返しながら、巾25mmのラミナを4枚貼り合わせて100mmの集成材を作って、これを基本にさまざまな家具作りを行っている。25mmの平板を取れさえすれば、どんな材でも使用可能なのである。捨てる部分が大幅に減ることは想像に難くない。
その他、間伐材を使った家具や木のぬくもりを活かした小物作りは、数多くの(心ある)人々によって行われている。もちろん、地方発の個性あふれる家具類は見て触って使って楽しいものだが、これも建築資材としての国産材同様、誰でも手軽に購入できるものではない。こちらも、いくつかの集成材業者が団結し、資材提供を安定させた上で大手オフィス家具メーカーなどと提携し、誰でもが見て、触って購入できるようなシステムの誕生が待たれる。もしも、あまり価格が変わらずにオフィスの灰色の机が木の香りのする机に変わったら、職場の雰囲気も一変するはず。
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