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近年、地球温暖化防止や生物多様性の保全など地球規模での環境問題の解決が求められる中で、森林の有する多面的な機能の重要性に対する認識が高まっています。特に熱帯林を中心とした森林資源の減少・劣化を食い止めるためには、持続可能な森林経営の推進や「資源循環型社会」の構築が必要と考えられており、我が国においても森林を適切に整備・保全し有効に活用することが求められています。
また、我が国では、かつて森林と人々の暮らしが密接な関係を保ち、農山村の人々は生活の中で薪炭材や落葉堆肥などの森林資源を利用し、文化ともいえる森林の整備や利用に関わる技術や知識を育んできました。しかしながら、昭和30年代のエネルギー革命に象徴されるように、戦後、人々の生活様式は急激に変容を遂げ、森林と人との関係が希薄化し、従来人々の手によって維持・管理されてきた森林が放置されるとともに、これまで受け継がれてきた「森林と木の文化」の継承が危ぶまれる状況に至っています。
このような中で、人々の生活や環境と森林との関係について理解と関心を深める「森林環境教育」の実践を通じて、幅広い人々が環境との調和や資源の循環利用について学び、「森林と人とが共生する社会」の実現を目指していくことが求められています。特に里山は、森林と共存してきたかつての人々の暮らしの中で培われてきた森林の整備や利用に関わる技術や知識を再発見する身近なフィールドとして注目されています。
また、こうした活動が広がり定着していくためには、実践者による交流の輪をつくり、恒常的な情報発信と交流を進めることによって、様々な地域で活動を創出・活発化する必要があります。
本シンポジウムは、「森林環境教育」を実践する各方面の関係者が集い、その成果と今後の課題について里山をキーワードとした討議と情報交流を行うことを目的に開催します。さらに、地域に根ざした活動が協働により組織化し定着していくためのネットワーク「森林環境教育フォーラム」の設立に向けた検討を行います。 |