都市の水需要と水源林の今
多くの人が集い、住み、働く大都市。機能的・集約的に発展し続ける中で、安定した水の確保は都市にとって大きな課題だ。横浜・川崎をはじめ大都市を抱えた神奈川県も例外ではない。平成7〜8年に経験した深刻な渇水を契機に、県民に水不足に対する認識が高まった。
一方、下流域の旺盛な水需要に対して、水源地の森林を取り巻く環境はどうだろうか。薪や木炭などのエネルギーの供給源として重要な存在だった里山は、燃料革命の中でその役割を失うとともに、木材供給を担ってきた林業も外材輸入の拡大等から長期にわたる不振が続いている。
このため、これまで林業経営を通じて、適切な整備が行われていた水源エリアの森林の手入れ不足が進み、水源かん養などの公益的機能の低下が懸念された。
もはや適切な森林整備を森林所有者だけに頼るのは不可能な状況だ。 |