不況が生んだ一挙三得事業
昨年9月に、木村良樹和歌山県知事が「緑の雇用事業」を全国に提唱した。長引く不況と構造改革は、都市部をはじめ多くの失業者を生み出した。木村知事はこうした状況を変革のチャンスと捉え、環境保全による雇用の場を農山村に創出し、都市から山村に定住して働いてもらう地方版セーフティーネットとすることを考えた。
ねらいは雇用対策だけではない。地球温暖化防止会議でわが国が約束したCO2の削減を実行するには、CO2吸収源である森林の整備が不可欠だ。林業の低迷から森林の荒廃と作業の担い手不足が叫ばれる中、「緑の雇用事業」への期待は高い。また、地球温暖化対策を担う仕事として、都会人の支持を得やすいだろう。
さらに地方の自立という面でのメリットも大きい。都会でのノウハウを持つ新規参入者が農山村に定住することは、過疎に悩んでいた地方の活性化にもつながる。まさしく"一挙三得"なのである。 |