間伐

協同組合東京の木で家を造る会の活動
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4.古木屋とバイオマスエネルギー

「東京の木で家を造る会」が行っているのは、家作りだけではない。古木屋(ふるぎや)の構想もそのひとつ。木は、木材=木財と呼ばれていた。つまりは、財産だったのである。財産としての木は、新しいものでなくても、ある程度の価値を持つ。特に、数十年を経過した木はそれ以上の変形は起こりようがなく、かえって使いやすいというメリットもある。その古木市場を再開していこうという構想である。もうひとつは、木材のCO2表示。

「こちらの柱は2000円だけど、CO2はプラス1t、こちらは4000円でCO2はマイナス0.5t。選ぶのは消費者というシステムですね。ファミリーレストランで、メニューの脇に値段とカロリー表示があるでしょ。あれを木材にも適用するんです。表示するのは、カロリーではなく、CO2。新建材にもCO2表示するといい。あるいはアルミサッシュにもね。それを運んだり、作るのにどれだけのCO2が排出されているのかを表記する。選ぶのはお客さん、というシステムですね。そうなると、国産材も安閑としていられなくなる。乾燥に重油を使っているところは、バイオマスでの乾燥に切り替えなくてはならないだろうし、チェーンソーの燃料も植物性のものを使わなくてはならない」(稲木)。

こういう世界が実現すれば、近くの山で伐採された木が最もCO2が少ないということが明白になるはずである。

もうひとつは、バイオマスエネルギーの活用。これは端材や製材廃材などをエネルギー資源にしていこうというもの。ダイオキシン類対策特別措置法により、製材業者がかつて焼却処分していたものが燃やせなくなってしまった。これを産業廃棄物として処理すると、莫大なコストがかかる。製材業者は仕事を続けることができなくなる。こうした製材廃材をペレットに加工する加工工場を作る計画を進めている。

「東京都が補助してくれないので、民だけでやろうと思っています。1億円かかるペレット工場を3000万円で作る。中古の機材を使えば、なんとかできると思う。100%民だから、現在1口2万円の出資金を募っています。必ずやりますよ」(稲木)。

東京から森林再生を発信していく「東京の木で家を造る会」の活動に注目していきたい。


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建築家や工務店などプロとともに、原木市場の見学。木の見方なども教えられることが多いという。

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