アサヒビールは広島県内に「庄原林業所」という森林を所有している。森林面積は2,169haで、庄原市や君田村、高野町など15カ所ほどに点在している。森林の内容は天然林が528haで、アベマキやナラ、クヌギなどの広葉樹の二次林。1,641haの人工林にはヒノキを中心にスギやクヌギがある。人工林の最高齢級は51年生で、施業期間は80年を目標としており、あと30年は間伐材以外は生産しないことになっている。
こうした森林をアサヒビールが所有しているのは、ビール瓶の王冠の裏に使うコルクの自給対策として、前身の大日本麦酒がアベマキの自生する森林を購入したのが始まりである。しかし、戦後のコルクの輸入解禁、さらに王冠の裏の材料も変わり、アベマキを育成する意味はなくなったことで、スギ、ヒノキを植林し林業所として稼動したのである。
アサヒビールのこの庄原林業所では“FSC”という国際的な森林認証を2001年に取得した。また、この森は水源保安林、ブナ自然環境保全地域、神之瀬峡県立自然公園などにも指定される貴重な森でもある。今後は、FSC認証制度と認証材の普及に対するバックアップ、環境自然(森林環境)教育のフィールドとしての森林の開放、林業経営や生態系についての研究フィールドの提供などに力を注ぎ、森林を守ることから活用へと、取り組みをもう一歩進めていく。 |