木材はセルロース、ヘミセルロースと呼ばれる繊維質と、それらを結合させるリグニンという物質からできている。その中のセルロースとヘミセルロースを糖化し、発酵させることでエタノールを製造できる。いわゆる植物系バイオマスの有効活用によるエタノールの製造である。このバイオマスエタノールは燃焼させても環境への負荷が少なく、自動車の燃料に混合して利用できる。しかも、廃材、間伐材、輸入材のバーク、剪定木、さらには食品工場等から排出される繊維系残渣(茶粕、コーヒー粕)、古紙、さらに将来的には一般廃棄物に含まれる繊維系廃棄物なども有効活用できるなど、メリットが多い。また、バイオマスから排出された二酸化炭素は排出量にカウントされないため、排出量削減に最も効果的である。
このバイオマスエタノール製造事業に取り組む企業の一つが日揮である。日揮は独自の技術と米国企業などの技術権利を取得するなどしてエタノール化プラント建設の受注を進めている。当面の目標として、自治体が取り組む木質系廃棄物の有効利用計画へ参入し、ここにプラントを売り込むということである。バイオマスの有効活用は世界中で注目されており、プラント建設企業や商社をはじめとする様々な企業が新しいビジネスとして着実に準備を進めているようである。 |