国産材が使われない理由の一つとして、値段が高く品質が不安定だからということが挙げられる。これは原木市場から製材市場を経て販売市場に至るなど流通形態が複雑な上、市場が細分化されているということによる要因が大きい。そこで、このような国産材の欠点であった流通システムを改善し、安定的な供給を実現させていくことを目指して取り組んでいるのがログウェルである。ログウェルは、JASなど公的基準に基づいて品質を揃えながら国産材を家一軒分取り揃えるシステムを整備している。既存の業界が失ってしまった国産材の流通を、品質重視、消費者重視の新たな時代にあわせてネットワークを活用しながら再構築しているといえる。また、国産材だけで安価に家を建てられる標準設計の家づくりを「ログウェル・ホームプラン」として企画し、建築市場協議会というグループとともに供給する体制も整えている。さらに、エコマーク表示した製材品「いたわりの杉」などの販売により、木材流通面から資源の有効利用や適切な森林管理を進める事業を展開しはじめている。従来の林業を諦め、単なる環境林として保全するのではなく、川上(地方林産地)と川下(都市部)の経済的つながりを復活させることで国内の森林事業の復活に取り組んでいる、全く新しい事業である。 |