ご挨拶
平素は当会の業務運営につきまして特段のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は、年初の「能登半島地震」に始まり、8月には日向灘で発生した地震により、はじめて「南海トラフ巨大地震注意」が発表される等、地震が相次いだ年でありました。
震災以外にも集中豪雨等、全国各地で災害が頻発しており、被災された方々に衷心よりお見舞い申し上げます。
弊会といたしましても、政府に所要の要請を行うと共に、今こそ「緑の国土強靭化」による防災・減災への取組を強化してまいらなければならないと考えております。
こうした中、昨年4月から森林環境譲与税の配分が見直され、山間部の自治体に多く配分されることとなりました。
全国の森林組合系統が引き続き地元都道府県及び市町村と連携し、森林環境譲与税をしっかり活用して地域の森林整備等を進めてまいります。
さて、政府におかれては花粉症対策として花粉の少ない森林への転換促進対策を推し進められており、森林組合系統はその担い手として事業に取り組んでいるところです。
森林組合系統運動「JForestビジョン2030」においても、「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業の確立を掲げ、系統全体で主伐再造林に取り組むこととしており、花粉発生源対策の取組と合わせて引き続き推進していく所存です。
一方、昨今の少子高齢化等の影響を受け、森林整備等を担う人材の確保が全国的な課題となっております。
弊会では、これまで林野庁補助事業「緑の雇用」事業の実施主体として、全国の森林組合をはじめとした林業経営体の人材確保・育成を支援して参りました。
加えて、弊会が事務局を務める一般社団法人林業技能向上センターでは、林業の現場技能者の技能向上による人材育成を図り、労働安全の確保、林業労働者の処遇改善や人材確保に資することを目的として、林業における技能検定制度の構築に取り組んでまいりました。
昨年8月に職業能力開発促進法施行規則等が改正となり、技能検定職種に林業が追加されるとともに、技能検定試験も始動したところであります。
また、昨年9月にオーストリアで行われた世界伐木チャンピオンシップ(WLC)では、初めて日本人選手が総合でメダルを獲得するという嬉しいニュースがありました。
今年も弊会が中心となり、第6回日本伐木チャンピオンシップ(JLC)の開催を予定しており、多くの選手が切磋琢磨し、更なる現場技能者の技術や地位の向上、安全対策の推進に資することを期待しております。
本年2025年は、国連決議に基づく「国際協同組合年」です。
これは、2012年から二度目の宣言となり、SDGsの達成に向けた協同組合の取組が世界に認められた証であります。
我々協同組合はこの期待に応えるべく、一層、SDGsの達成やカーボンニュートラル社会の実現等、社会課題の解決に向けた取組を「実践」し、広く「発信」していく必要があります。
本年の「IYC2025国際協同組合年」を契機とし、森林組合系統の活動に対する社会の皆様方の認知を高め、森林組合系統の更なる発展と「JForestビジョン2030」の実現を目指してまいります。
今後も、人材の確保・育成、森林資源の循環利用、国産材利用促進等に向け、役職員一同精進する所存ですので、皆様方の御指導、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和7(2025)年1月
全国森林組合連合会
代表理事会長 中崎 和久