循環型エネルギー
ところで、薪はなぜ燃えて熱を生み出してくれるのか? それは、木が育つときに浴びた太陽のエネルギーをその細胞一つ一つに蓄えているからだ。というと、ロマンチックすぎるだろうか? しかし、実際にそうなのだ。植物が育つときには空気中のCO2を吸収しながら光合成が行われる。それは、
CO2+H2O+太陽エネルギー→[CH2O]+O2
という式で表すことができる。これが燃焼するときには、
[CH2O]+O2→CO2+H2O+熱エネルギー
という式で表せる。重要なのは、上下の式が完全な循環を見せていること。バイオマスエネルギーがCO2を出さない、循環型のエネルギーであることがよくわかる。もちろん、燃えるときにCO2は出しているのだが、原材料の木や草が育つ間に吸収したCO2なので、トータルで見るとCO2排出ゼロと見なされるわけである。除伐された木や、枝打ちされた枝を山に残しておけば、自然に分解され、CO2を出しながら腐食していくのと同じこと。これは、直接燃焼させるかどうかに関わりなく、バイオマスエネルギー利用の全般に当てはまることである。もうひとつ、木質バイオマスがクリーンといわれるのは、燃やしても窒素酸化物や硫黄酸化物を極少量しか出さない。燃焼効率が低い、それにともなって輸送コストがかかるなどのデメリットはあるが、それを除けば理想のエネルギーということができる。
それぞれの木質バイオマス活用法に関しては、この後のレポートで詳しく紹介するが、ここではなぜ木質バイオマスに注目が集まるか、あるいは注目しなくてはならないのか、を考えてみたい。
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