清流と緑に囲まれた当地域は、日本そして岐阜県の中央部に当たる中濃地域に位置し、郡上市白鳥町に所在する。
郡上市白鳥町は、人口約1万2千人で森林の豊かな緑に包まれ、約90%を森林が占めている。当地は長良川など清流に恵まれ、アマゴ釣りの解禁から鮎シーズン終了まで多くの釣りファンで賑わっている。また、夏の風物詩「白鳥おどり」もリズミカルなテンポで若者に人気があり、冬には、多くのスキーヤーで賑わうなど四季を通じて多くの人が当地を訪れている。
当社の前身は広葉樹原木の伐出・販売事業を手掛け、昭和33年に広葉樹原木を加工する製材工場を建設し創業した。昭和44年に人工乾燥材による木製品製造事業に着手し、平成に入り広葉樹からスギ、カラマツを中心とした針葉樹の取扱いに軸足を移し現在に至っている。
一方、これと並行し、造林・素材生産事業も実施してきたところであるが、伐出作業の効率化を図るため平成8年から高性能林業機械を順次導入し、地域や国有林野事業の間伐を中心とした森林整備等に取り組み、地球温暖化防止など国民の要請に応えている。
所在地: | 岐阜県郡上市白鳥町 |
---|---|
設 立: | 昭和44年4月 |
資本金: | 26,000千円 |
従業員数: | 21名 |
当社事務所兼ショールーム
作業効率の向上、労働強度の軽減、安全性の向上の観点から平成8年のプロセッサの導入を皮切りに、これまでにハーベスタ、スイングヤーダ等7台の高性能林業機械を積極的に導入するとともに、官・民一体となり低コスト作業路(四万十方式)の開設に取り組み、低コスト作業システムの確立を目指してきた。このことにより作業の効率化が図られ、従来ではコスト面から敬遠されてきた、スギ、カラマツ林分の利用間伐区域が拡大することにより安定的な木材の供給も可能となり、間伐の推進に貢献できる体制が整った。
また、従業員の高齢化に伴い新たな担い手を確保するため、「緑の雇用」制度を積極的に活用し、意欲のある若者を制度創設以来、毎年採用・育成に努め現在9名が在職し、ベテラン従業員から生きた教育を受ける等技術の継承・研鑽に努め、林業労働力の担い手として着実に育っており、活気のある明るい職場になっている。
機 械 名 | 導入年月 | 年稼働日数 | 導入手段 |
---|---|---|---|
プロセッサ | H8.3 | 203日 | 自力 |
スイングヤーダ | H9.10 | 197日 | 自力 |
スイングヤーダ | H17.4 | 197日 | 自力 |
フォワーダ | H10.10 | 186日 | 自力 |
フォワーダ | H20.3 | 70日 | 自力 |
ハーベスタ | H19.3 | 180日 | 自力 |
ハーベスタ | H19.8 | 190日 | 自力 |
平成17年度 | 1名(2名) |
---|---|
平成18年度 | 2名(4名) |
平成19年度 | 2名(2名) |
※( )は採用者数 |
雪山での低コスト間伐システムの研修
年度 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 |
---|---|---|---|---|---|---|
基本研修 | 3人 | 2人 | 2人 | 4人 | 2人 | 2人 |
技術高度化研修 | − | − | − | 2人 | 0人 | 0人 |
森林施業効率化研修 | − | − | − | − | − | 3人 |
県立森林文化アカデミー学生の視察受入
地元以外の林業未経験のIターン就業者がほとんどを占めていることから「緑の雇用」研修等、国・県が実施する技術研修への積極的な参加をはじめ、各種の免許・資格試験・講習に順次計画的に受講させ、資格の取得や技術の向上と職務意欲の醸成に努めている。
また、これらを活かせるよう現場での実践を通じベテランから熟練技術を伝承し、若手従業員も同じように機械操作等が出来るよう後継者育成に力を注いでいる。
「災害ゼロ」を目指し、身近に出来る安全活動に取り組んでいるが、安全活動も日頃から何でも話し合える風通しの良い職場を作る必要があることから、意思疎通の場として、全員による会議(月1回)や各現場のスタッフによる作業ミーティング(週1回)を行い、作業打合せと安全に関する指示・確認等を行い、良いチームワークづくりに努めている。
また、これまでに林業経験がなく採用後数年の若手従業員が多いことから、労働災害の未然防止徹底のため、「やってはならない決められたこと」等基本動作について、研修の指導員やベテラン従業員が中心となり、担い手育成の作業指導とともに根気よく安全指導を行っている。
また、平成19年度には、リスクアセスメント担当者研修で2名の担当者を養成し、TBMの実施時等に活用している。
ハーベスタ等高性能林業機械を積極的に導入するとともに、官・民が一体となり低コスト作業路の開設等低コスト作業システムを実践することにより生産コストが低減され、採算の面から実施できなかったスギ、カラマツ林分の利用間伐区域を拡大することが出来る体制が整った。このため、実践している作業内容を研修会、検討会の場として提供するとともに、地域住民を対象とした見学会、学生を対象としたインターンシップとともに一般視察者等を対象に現地を通じて森林整備の重要性や積極的な取組みのPRに努めている。また、高齢化する林業労働力の担い手を確保するため、「緑の雇用」事業に積極的に取り組み、事業創設以来、毎年新規採用者を受け入れるなど林業労働力の担い手確保に真剣に取組み、停滞している林業の活性化に力を注いでいる。
官・民が一体となって実施してきた低コスト作業システムがほぼ定着し、軌道に乗ったことから、身近で地球温暖化防止に貢献できる森林整備の重要性を認識しつつ、引き続き高性能林業機械を駆使し、ベテランからの「技術の継承」とチームワークによって、より安全で効率的な森林整備に努めるとともに、若者にも魅力があり活気のある林業を目指して林業就業に意欲のある担い手を確保し、その育成に力を注ぎ地域に根ざした林業の活性化に寄与したい。