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 神奈川県南足柄市では、全森連の「森林総合利用森林整備支援事業」を受けて管理をする「足柄森林公園 丸太の森」のホームページをつくろうという話が持ち上がりました。そのため、担当する農政課の職員及び施設の担当職員が集まって会議を開きホームページの持つ意味から作成作業に入るまでをひとつずつじっくりと検討していくことになりました。

コンセプト・体制を決定するための検討プロセス

 ホームページ作りにとって、企画段階はとても大切なプロセスです。先を急がず、じっくり検討していきましょう。まずは、コンセプトと体制を決め、予算を算出します。

1何ができるか(可能性)
役割は1つだけではありません。


2誰に・何を伝えたいか(対象・目的)
現状を知るところから始まります。


3誰がどのようにするか(運営体制)
作成及び更新を内部でするか、外注するか、大きな分かれ道です。


4いくらかかるか(予算組み)
将来の見通しも考えながら算出して行きます

コラム1−1・2
コラム1−3・4

1 ホームページで何ができるか
 ごく基本的なことから考えてみましょう。ホームページの役割は「情報を流すこと」だけと考えている方が多いかもしれません。しかし、それだけではないのです。
 「やはり、丸太の森の情報を幅広い地域の人に流すことができるってことでしょう」
 「それだけかなあ」
 「情報を流すだけでなく、丸太の森そのものを知ってもらうことができる」
 「夏のキャンプ場の予約状況がわかり、予約もそこでできるようになれば、見る人にもメリットは大きい」
 「電子メールのアドレスを入れれば、意見や感想をもらうこともできる。これは今までにないやり方だよ」
 「一方通行な情報の提供でなく、見た人や来てくれた人とのコミュニケーションがとれるといいなあ」
 このように、ホームページは広報の役割を果たしているとともに、やり方次第で、発信する側・受信する側の双方向の情報交換ができる場にもなります。これは、今までの媒体にはない大きな特徴です。この特徴をうまく活かしていくことで、森林総合利用施設と利用者との接点を増やし、より利用者のことを考えた施設としていくことも可能なのです。また、インターネットもホームページも、いろいろな点でまだ発展途上の段階にあります。ですから、その果たす役割は、今後いろいろな分野に広がる可能性を秘めているとも言えるでしょう。
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2 誰に・何を伝えたい?

【誰に伝えたいか】

 まず、現在の「丸太の森」の集客と広報の現状を考えてみました
●来客数 年間約5万人(多い年で約7万人)
●どんな人が来ているか 団体が多い(小・中学校が特に多い)
家族連れも多い

年齢層は幅広い
ほとんどが県内からであり、遠くても埼玉県まで
●何で来るか 車が多い(電車とバスの場合、バスを降りてから20分ほど歩く)
●利用目的は何か 森林浴や自然観察が多いが夏休みはキャンプやバーベキューも多い
●広報の媒体 ・パンフレット(来園者に配布)
・自主事業等の情報は、市の広報及び県の広報(月1回市内全戸配布)
・小・中学校用のガイドブック(県内600校に配布)     ・観光協会のポスターやホームページ等

 「丸太の森」では、年間の集客目標5万人はいつも達成していますが、その内訳を見ると、訪れる人は「県内の人」「夏のシーズン」に偏りがあるということがわかりました。「県外には知られていない場合が多いので、もっと幅広い集客をするためにも国内はもとより全世界に情報発信する事ができるホームページは有効だ」「夏はキャンプの予約が満杯になることが多いので、ホームページで予約状況がわかれば、計画も立てやすいし、来園者の集中もある程度緩和できるかもしれない」「逆に冬場は閑散としていることが多い。季節ごとの情報、特に冬場ならではの情報を流せば、時期による偏りは少なくなり年間を通して安定した集客が図れる可能性がある」こうして、年齢層やターゲットは絞り込まず、県外の人にももっと知ってもらいたいということと、年間の集客数の偏りをなくし、安定化を図るためのページづくりが必要だということになりました。

【何を伝えたいのか】
 施設内には何があり、どんな事業が行われているか、その再確認から始まります。
 「施設内には何があるのか、ということかな」
 「季節の情報を含めて、どんなところかということがわかってもらえるものにしたい」
 「丸太の森は、森林の保護育成の場とともに自然環境の恩恵を知る場、と位置づけています。これを丸太の森の魅力としてアピールしたい」
 「休園日や開園時間、入園料、キャンプ・バーベキューの申込期間と料金などは問い合わせが多いからこれは絶対に必要だね」
 「すぐには無理かもしれないが、キャンプ・バーベキューの予約状況をリアルタイムで伝えられるといい」
 「電子メールアドレスを入れておけば、利用者の生の声を聞くことができる」
要望はいろいろと出てきました。これらをすべて伝えるかどうかは、次の「ページをつくろう」のステップで具体的に検討していきます。
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3 運営体制はどうするか

【誰がどのように管理していくか】
 ホームページをつくるといっても、市町村のホームページがなく、すべて新たにつくらなければならないケースと、すでに市町村でホームページを持っていて、その一部のページとして運用できるケースとがあります。
 最近は、ホームページの基本となるHTMLを覚えなくても、誰でもホームページを簡単に作成できるソフトウェアがいろいろ発売されていますので、勉強しながらつくっていけば一応の水準のものはできるでしょう。しかし、その場合、市町村のホームページの一部のページをつくるならまだしも、ホームページがまったくない状態からすべてつくることには相当な時間と労力を要します。
 趣味として、個人のホームページを時間をかけながらつくるというのならともかく、施設のホームページを業務時間内につくる、ということになるとそれなりの覚悟が必要になります。要する時間と完成度から考えて、結果として外部のホームページ作成業者に委託することになるケースが多いのが実状です。
 ただし、業者に委託する場合でも、すべてお任せというのではなく、今まであげてきたような「役割・対象・目的」は内部で十分に検討をしてから、実際の運営やページ構成を一緒に決めていくようにしましょう。

【誰がどのように管理していくか】
 では、ホームページができあがり、公開した後の管理についてはどうでしょうか。
 例えば、電子メールのアドレスを入れておくと、ページを見た方から、感想や問い合わせなどのメールが届く場合があります。それを「読む」ということがまず必要ですし、それに対して「返事を書いて送る」ということも必要になります。また、ホームページはいつも最新の情報を載せておくことが大切です。森林総合利用施設の場合、季節の移り変わりの様子などはとても重要な情報です。夏の時期に春のイベント案内が載っていたり、冬の園内の情報を知りたい時に夏の植物のことばかりが紹介されていると、見た人にとってはどうでしょうか。がっかりして、また見てみよう、行ってみようという気がしなくなることでしょう。いつも新鮮な情報が載っているホームページは、定期的に読んでもらえますし、施設の再来園者を増やすことにもつながります。
 このように、ホームページはできてしまえば終わり、なのではなく、p.13にあげるようなその後の管理が重要になってきます。これもすべて外部への委託でよいものでしょうか。

●電子メールの管理 頻繁に必要であり、操作は簡単に覚えられるものですので、ぜひ内部で作業を行い積極的に活用してください。専任者を決める、または交代で担当していくのもよいでしょう。そして受け取ったメールには、必ず返事を送ることを忘れないように。

●掲載情報の更新 外注した場合、その業者に任せるケースも多いのですが、予算的にそう頻繁には行えないのが実状でしょう。内部でも処理できそうなところは積極的に進めましょう。そのため、はじめは更新しなければならない部分を最小限に抑え、入力もレイアウト固定のまま写真と文章の入れ替え、ぐらいに留めておくと、それほど負担にはならないでしょう。

●管理・更新のサイクル このように電子メールの管理や定型の情報の更新は、それほど難しいものではありません。しかし、これらを頻繁にやっていくことは、それなりに負担となっていくことが予想されます。そのため、はじめは管理や更新のサイクルを長めに考えた方がよいでしょう。例えば、電子メールは1日おきの朝10時に見る、新着情報は3ヵ月ごとに入れ替えるなど、無理のないサイクルで管理していくべきです。ページづくりを始めると、あれもこれもと情報を入れて複雑な操作をしたくなってくるのですが、はじめはその気持ちを抑えて、必要最小限のもので運用を開始し、必要に応じて徐々にきめ細かい体制を整えていく、という方法をおすすめします。

●保守 今後、掲載する情報が増えていくことが予想されますが、解決には専門的な知識が必要となるトラブルが出てくる可能性があります。できればいつでも相談・対処ができる外部業者と契約していると、何かと安心です。

今回、丸太の森ホームページでは、作成を外注し、保守と更新は南足柄市農政課の職員が担当していく
ことになりました。   ただし当分の間、他の業務の負担にならないように、電子メールでの意見聴取とキャンプ場の予約システムは見送ることにしました。
     また、更新も、季節の情報や自主事業の予定(下記)を春(3〜5月)、夏(6〜8月)、秋(9〜11月)、冬(12〜2月)と3ヵ月単位に分け、年4回、写真と文章だけを差し替えるという形にしました。丸太 の森ホームページで最も伝えたい情報は、自主事業の予定と参加者募集。ゆくゆくは、結果報告も載せていきたい、という話でした。
平成11年度丸太の森自主事業(自然に楽しむ会)の予定
3/1〜4/30 花まつり 休園日は除く
5/9又は5/16 春の野花に親しみ山菜を味わう会 定員30人
6/6 第16回丸太の森俳句大会 定員70人
7月中〜下旬 アコースティックコンサート
9月中の2週間 まほろばの万葉と足柄をたずねて
10上〜中旬 森林浴とキノコに楽しむ会 定員80人
11/14 森の大地祭
2月下〜2週間 しいたけのホダ木作り ホダ木500本
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 4 予算を考える 

 ホームページ作成には、どのくらいの予算を確保する必要があるのでしょうか。以下の項目について十分に検討することが必要です。
 ・作成は内部でするか、外注するか
 ・保守、更新は内部でするか、外注するか
 ・インターネットサーバーは市町村で持つか、外部に委託するか
 ・必要な機材、設備は何か
 ・ページの構成、内容はどのようなものにするか
現在のことだけではなく、将来的なことも見越して予算を組むことが大切です。

【作成費】
  外注の場合、ホームページ作成費は業者によってかなり開きがあります。業者といっても、プロバイダーで請け負ってくれるところ、専門に作成している会社、フリーランスでページづくりを請け負う個人、といろいろあります。プロのつくったホームページはレベルの高いものですが、そのレベルは業者によりまちまちです。また、自分たちのイメージに合う、合わないなどの問題もあるので、できればその業者のホームページ(当然ながらその業者が作成したもの)を見てみることをおすすめします。さらに、こちらで立てた企画案をもとに、直接相談しながら作成案をつくり、プレゼンテーションまでしてもらえるような業者なら安心です。業者とのコミュニケーションを密にして作成を進めることが重要です。 そして、その後の保守・更新についても、契約時に扱いをしっかりと取り決めて、見積を出してもらいましょう。

【インターネットサーバーの所在】 インターネットサーバーをすでに市町村で持っている場合は、その一部を使うのが一番よいのですが、プロバイダーなど外部業者のものを使う場合には新たな費用負担となります。

【機材・設備の調達】 市町村や施設の現状によりかなり変わってきます。

ホームページの閲覧に最小限必要な機材
ブラウザソフト
(ページの閲覧用)





パソコン&モニター
インターネットに接続するための回線
・電話線を使いプロバイダーにダイヤルアップし、接続
・専用線を使って接続
・LAN→プロキシサーバー経由で接続 等

作成更新に必要な機材
フラットベットスキャナー(写真やパンフレットなどを読みこむ) デジタルカメラ(撮った画像をそのまパソコンに読み込む)
フィルムスキャナー(ポジ・ネガフィルムを読みこむ) ・ページ作成ソフトまたはHTMLエディター・画像処理ソフト・描画ソフト

その他、状況により必要な機材
MOやCD−ROMなどの記憶ディスク装置(データの受け渡しがある場合) モデムやターミナルアダプター
電子メールソフト(電子メール機能をp持つ場合)
*足柄市ではインターネットサーバーを持っていないため、今回、取材のための特別処置として、全森連の利用しているサーバーの一部を使い、丸太の森ホームページを立ち上げることにしました。
*インターネットの接続に関しては、平成9年度の「ホームページ作成マニュアル」に詳しく解説してあります。
 予算案まで進んだところで、企画書としてまとめてみました。次のステップで、どんなページにするかを考えていくときの参考になります。
「丸太の森」ホームページ作成のための企画書

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