木材輸出の流れとポイント

このページでは、木材輸出の大まかな流れとポイントをご紹介します。なお、具体的な手続きや実務については、日本貿易振興機構(ジェトロ)日本木材輸出振興協会WEBサイト内の情報をご覧ください。また、本ページ内の「木材輸出に関する情報」(リンク集)も併せてご覧ください。

貿易取引と国内取引との違い

difference between Trade transactions and domestic transactions

木材の輸出つまり貿易取引には、国内取引とは異なる注意すべき点があります。例えば、輸出先の言語や文化、商習慣のほか、信用、輸送、決済などです(右図参照)。あらかじめ、これらの違いを理解し、対応策を検討しておきましょう。

1. 貿易取引と国内取引との違い
出典:
「貿易実務の基礎」日本貿易振興機構(ジェトロ)/
令和2年度林業経営体強化対策事業 林業経営体強化専門研修資料

貿易実務の基礎〈第1部〉(貿易の関係者、輸出入の流れ、インコタームズ)

the base Trade practice part Ι

木材に限らず、輸出の大まかな流れは右図のとおりです。市場調査から代金回収までの間に、国内取引にはない実務が必要になります。

2. 輸出の流れ
出典:
「貿易実務の基礎」日本貿易振興機構(ジェトロ)/
令和2年度林業経営体強化対策事業 林業経営体強化専門研修資料

貿易実務の基礎を解説した動画をご覧いただけます(全3部) 。動画内で使用されているレジュメ(PDF)は以下からダウンロード可能です。


貿易実務の基礎〈第2部〉(決済方法、輸送、保険) 

the base Trade practice part Ⅱ

木材に限らず、輸輸出予定国を決めたら、その国の一般的な情報、木材特有の情報の市場調査を行います。

一般的な情報とは、地理・文化・社会、政治・経済、法制度、金融・為替、通商政策、流通・物流・通信等の情報のことです。木材特有の情報とは、木材の消費者・供給者、市場、需要、製品、価格、競合製品等の情報のことです。

これらの情報について輸出予定国の市場調査を行い、その国が市場として適しているか、輸出に際して、日本側及び相手側に法的規制はないか、また、輸出しようとする商品に需要があり、 商品性や市場性があるかについて検討します。

4. マーケティングと市場調査(2)
出典:
「貿易実務の基礎」日本貿易振興機構(ジェトロ)/
令和2年度林業経営体強化対策事業 林業経営体強化専門研修資料

貿易実務の基礎を解説した動画をご覧いただけます(全3部) 。動画内で使用されているレジュメ(PDF)は以下からダウンロード可能です。


貿易実務の基礎〈第3部〉(HSコード、関税、トラブル解決)

the base Trade practice part Ⅲ

市場調査には、たとえば以下のような方法があります。

  1. インターネットを活用する(ジェトロのウェブサイト等)
  2. 公共の図書館やジェトロのデータベースコーター等を訪問し、各国の事情、法制度、統計等についての書籍、データベースを閲覧する
  3. 大使館商務部やジェトロ等の貿易関係機関に助言を求める
  4. 関係業界、業者又は専門商社等から情報を収集
  5. 専門紙誌、業界紙誌又はカタログ等を収集して情報を分析する
  6. 調査機関に市場調査を依頼する
  7. 海外渡航をして実態調査する
  8. 見本市に参加し、競合商品を調査したり、実際に出展して反響をみる
    (出典:「貿易実務の基礎」日本貿易振興機構(ジェトロ)/令和2年度林業経営体強化対策事業 林業経営体強化専門研修資料)

貿易実務の基礎を解説した動画をご覧いただけます(全3部) 。動画内で使用されているレジュメ(PDF)は以下からダウンロード可能です。


これからの林業・林産業に求められるもの

What is required For forestry from now on

木材輸出に取組む際に心がけておきたいポイントの一つに、「木材の合法性」があります。世界的な木材資源の枯渇と管理及び活用の観点から、木材にはこれまで以上に合法性が求められるようになっています。

木材に合法性が求められる背景には、SDGsや人・環境・社会に配慮した消費行動(エシカル消費)が注目されるなど、一般消費者の意識の高まりもあります。

これからの林業・林産業に求められるもの。。。
出典:
「協議会によるグループ認証とCoC及びプロジェクト認証の運用-北海道の事例から-」SGSジャパン株式会社/2021年8月26日

木材の合法性を担保する方法に、森林認証(CoC認証/認証材)があります。地域で一体となって森林認証の輪を広げていくことでスケールメリットが生まれます。

求められる「森林認証(合法性)の強化」地域林業、林産業を変える機会にっているが。。。
出典:
「協議会によるグループ認証とCoC及びプロジェクト認証の運用-北海道の事例から-」SGSジャパン株式会社/2021年8月26日

また、川上から川下まで、地域内で認証材のサプライチェーン(生産から消費までの連鎖)が完結することにより、地域循環型の経済効果が生まれます。

地方自治体によっては、各種の助成・補助制度を設けて、森林認証、認証材の利用を促進しているケースがあります。

川上から川下まで、地域産認証材の利用を推進して、地域経済を活性化
出典:
「森林認証材普及促進ガイド」林野庁計画課/平成29年3月

農林水産省が掲げる林産物の輸出目標

Export target of Forest products

農林水産省が掲げる林産物の輸出目標は、林産物は2020年の381億円(実績)に対し、2025年に倍増、2030年には4倍増の1,660億円となっています。

その目標を達成するため、低価格・低質な丸太中心の輸出から、製材・合板との付加価値の高い木材製品輸出への転換が課題とされています。

農林水産物・食品の輸出目標
出典:
「木材を取巻く状況とこれからの方向性について」林野庁木材利用課/2021年12月21日

木材輸出に向けた支援策

Support measures for Timber export

こうした状況のもと林野庁では、製材・合板などの輸出拡大のため、地域の合意形成など輸出産地を育成する取組や、中国・韓国での木造技術講習会の開催などに対して支援を行っていくこととしています。

木材輸出拡大に向けた支援策
出典:
「木材を取巻く状況とこれからの方向性について」林野庁木材利用課/2021年12月21日